(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
脳裏に由真ちゃんが見せてくれた記事が浮かぶ。

気になるが、彼を傷つけたり不快な思いはさせたくないし、そもそも私が尋ねていい話ではないはずだ。


「婚約の件は知っていた?」


彼の質問に迷いながらもうなずく。


「後輩に教えてもらって、記事も読みました……ごめんなさい」


正直に謝る。

興味本位では決してないが、知らないうちに調べられたら不快だろう。


「なんで沙和が謝る? 皆知っている話だし、気にしなくていい」


愁さんがふわりと相好を崩す。

そのとき、男性店員が水とメニューを運んできた。

私たちはアイスティーを注文し、店員が離れた後、彼が再び口を開いた。


「婚約破棄の理由は知ってる?」


再び首を横に振る。


「俺と千奈は親が決めた許嫁同士だった。といってもうちはそれほど乗り気ではなく、辺見家のほうが熱心だった。同じ外食産業を営んでいるからな」


そう言われて思い至る。

当社の取引先ではないが、外食産業界の中では板谷ホールディングスには及ばないとはいえ大企業だ。


「実家が近所で同業者、祖母同士が友人だった縁で辺見家とは幼い頃から交流していた。だが俺が小学校入学前に辺見家が引っ越し、以前に比べ疎遠になった」


その口ぶりからは懐かしさはあまり感じられなかった。
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