(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「許嫁云々の話は元々正式なものでもないし、千奈は俺にとって異性の同い年の友人だった。過去、千奈には恋人もいたからな」


「恋人、ですか?」


意外な事実に驚く。


「ああ。ところが七年前、突然正式に婚約したいと千奈に言われた」


大方、家からの圧力だろうと推察し、友人以上の関係にはなれないと断ったそうだ。

さらに以前からあった中途半端な許嫁話も正式に解消しようと伝えたところ、辺見さんに猛反対され、仕方なく保留して話を持ち帰ったという。

その後、当時の愁さんに恋人がいなかったこともあり、どうしてもと鬼気迫る様相で何度も頼み込まれ、とりあえず形式上の婚約者になったそうだ。


「あまりに必死な様子に一旦受け入れはしたが、彼女が落ち着いたら婚約破棄しようと考えていた」


残酷とも言える物言いに辺見さんの先ほどの態度を思い出す。

今も彼を想っているのではないか、そんな考えが頭をよぎる。


「愁さんは……辺見さんを好きだったんですよね?」


質問する声が震えそうになるのはどうしてだろう。

過去だとわかっているのに、私は彼の恋人でもないのに、緊張でドクドクと鼓動が速くなっていく。

頼み込まれたとはいえ、婚約していた女性だ。

始まりは友人関係だったとはいえ恋心の欠片くらいはあったんじゃないだろうか。

答えを聞くのが怖い。

彼が返答するまでの時間がとてつもなく長く感じた。
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