(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
愁さんは自宅マンションの部屋の前まで送ってくれた。


「次に会えるのを楽しみにしてる」


「はい、あの、今日はたくさんいただいて……ありがとうございます。本当になにかお礼をさせてください」


大量の荷物は自室の玄関の中まで、愁さんが自ら運び入れてくれた。


「……じゃあ、今もらっても?」


そう言って私の顎を長い指で掬い上げる。

端正な面立ちが近づいて、黒髪が私の額を微かにくすぐり、彼の唇が私の唇に柔らかく触れた。

そっと優しく唇が食まれ、心が、全身が震える。

伏せられた彼の長いまつ毛が視界に映る。

突然の口づけに瞬きすら忘れ、時間の感覚がわからなくなっていく。

鼓動がうるさいくらいのリズムを体中に響かせる。

ゆっくりと唇を離した愁さんが私の瞼、鼻、額、首筋に小さなキスを落とし、最後にもう一度唇を重ねた。

先ほどとは違う、呼吸を奪いつくすような甘い口づけに思考が真っ白になり、腰から力が抜けそうになる。


「本当に可愛い」


口角を上げる愁さんの艶やかな姿に、心臓がさらに壊れそうな音を立てる。

さらに首筋に顔を埋めた彼が耳元でささやく。


「ちゃんと戸締まりして。敬語も早くやめるように」


口づけの衝撃からまだ立ち直れずにいる私のつむじに小さなキスを落とし、満足そうに帰って行く。


「リハビリ、急すぎる……」


のろのろと施錠した私は玄関先で蹲り、引かない頬の熱を抱えていた。
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