(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「でも、さすがにいただきすぎです。せめて、なにかお礼をさせてください」


「じゃあ……キスしても?」


愁さんがもう片方の親指でそっと私の唇をなぞり、背中にしびれがはしった。

驚きと混乱に目を見開く。


「社長、いい加減にしてください。浦部様に逃げられても知りませんよ」


津田さんの冷静な忠告に愁さんが口角を上げる。


「婚約者なのだから心配は不要だ。第一逃がさない」


「それはよかったですが、自重してください。浦部様、末永く社長をよろしくお願いいたします」


ふたりのやりとりにどう反応すればいいのかわからない。


からかわれただけ? 


愁さんは、どこまで本気なの?


今日一日の目まぐるしい変化に頭はもう許容範囲を超えてしまっている。


「じゃあ、食事に行こう」


ぽんと私の頭をなでた愁さんが明るく告げる。


「残念ですが、先ほど会長から連絡がございまして、至急戻るようにとのことです」


津田さんの報告に、愁さんが眉間にしわを寄せる。


「いったい、なんの用だ」


「私にはわかりかねますので、直接お伺いください」


津田さんの返答に愁さんは小さく息を吐く。

そして、私に向き直り口を開く。


「悪い、沙和」


「大丈夫です。気にしないでください」


車を降りる準備をしようとした私を彼が引き留める。

そして絡めた指先にもう一度キスを落とす。


「家まで送る。食事はまた今度」


上目遣いに見つめられて胸がざわめく。
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