後悔しない、ひとつのこと

廉side

今日はクリスマス。

爽を学校帰りにイルミネーションとか映画とか誘ってみたり...

そんなことを考えながら二学期最後の登校をした。

教室に着いても、いつも前にいる姿が見えなかった。

俺より遅く来ることなんてなかったのに。

「終業式に初遅刻かな」

そんな呑気なことを言って、爽が来るのを待った。

でも朝のHRが終わっても爽は来なかった。

来る気配もなかった。

なんでか心がザワザワして、電話をかける。

しばらくしてから発信音が切れた。

「もしもし爽?学校来ないの?もうすぐ終業式始まるよ」

そう問いかけても、いつもの明るい声は返ってこなかった。

急に鼓動が速くなる。

爽に何かあったんじゃないか。

今は喋れない状況なんじゃないか。

そんな不安がふつふつと出てきて、もう一度尋ねる。

「爽?何かあったの?大丈夫?今から行くよ」

聞いている途中で、不安が抑えきれなくなった。

返事がないまま電話を切ろうとした時、声が聞こえた。

『...すいません、お話したいことがあります』

それは、明らかに爽ではなくて。

「........え?爽じゃない、ですよね」

気づいた時にはもう、溢れていた言葉。

返事はすぐに返ってきた。

『はい。〇〇病院に来ていただけませんか』

''はい'' そして''病院''

その言葉が頭の中で木霊(こだま)する。

「病院.....爽は大丈夫なんですか」

聞かずにはいられなかった。

けどその問いに答えは返ってこなくて。

答えの代わりがきた。

『来て、いただけますか。学校が終わってからでいいんです』

学校が終わってから......

そう言われて、この人は爽のお母さんなんだと思った。

本当にそっくりだった。

爽も人のことばっか気にかけてたから。

だから爽自身のことは二の次になりやすかった。

「いえ、今から行きます」

迷っている暇はなかった。

爽に何かあったのなら、すぐに駆けつけたかったから。

駆けつけて、何があったのか聞きたかった。

聞かなくても、側にいることはできるから。

俺は教室を飛び出した。

廊下で先生とすれ違う。

「おいっ!せっかく遅刻しないで来たのにどこ行くんだ!」

答えることはせず、ただ走る。

何も考えずに。

考えたら、想像してしまうから。
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