後悔しない、ひとつのこと
「ただいまー」

誰もいない家に挨拶をする。
そうするといつも、病院で忙しなく働いてるお母さんが脳裏に浮かぶ。

「申し訳ないなぁ」

お母さんはお付き合いしている人がいる。
直接聞いたわけじゃないけど、連絡を取り合っているのを知ってる。

その時のお母さんはすっごく幸せそうで、スマホを大切な人を見る目で見ているから。

私の生物学上の父は、お腹に私がいるお母さんを放って遊びに行って事故に遭ったらしい。

遠慮なんていらないのに。

私のことは気にせず、お母さんには幸せに過ごしてほしい。まだ手はかけちゃうけどね。

幸せな姿を見る方が私にとってもいいから。

「さっ、夕飯の準備しなきゃ。なににしようかな」

カバンを置いて手を洗い、夕飯の献立を考えるために冷蔵庫を開ける。

「嘘でしょ、なんもない」

冷蔵庫には水と要冷蔵の調味料たち。

「スーパー行かなきゃ」
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