幸せの青い小鳥を助けたら、隣国の王子に番になってくれと求婚されました
地面の上に、見たこともない綺麗な青い小鳥が落ちて来た。掌におさまりそうなほどの小さな小鳥で、全身が美しい青色をしており、お腹周りだけ少し白銀色がかっている。嘴は黒く、足はグレーかかってとても細かった。
(えっ?青い鳥?)
シーラが驚いていると、人の声がさっきよりも大きくなり、近づいてくる。
「おい!見つかったか!?」
「いや、だがこっちの方に飛んで行ったはずなんだ」
「あの幸せの青い鳥を捕まえて売れば、俺たちは一生働かないで暮らしていける。絶対に見つけ出すんだ!」
(幸せの、青い鳥?もしかして、この小鳥は狙われているの!?)
シーラは目を大きく見開いて地面に横たわる青い小鳥を見つめた。気を失っているようだが、息はかろうじてしている。シーラは思わず青い小鳥を両手ですくうと、胸元に隠すようにして抱え、追手に見つからないよう木の陰へ隠れた。
「ちっ、どこ行きやがった」
「こっちにもいないか、あっちを探すぞ!」
バタバタと走り去る音が聞こえ、人の姿が見えなくなるのを確認すると、シーラはそっと両手のなかの青い小鳥を見る。怪我はしていないようだが、目が覚める様子は見られない。ふわりとした羽根、ほんのりとあたたかい体温、トクトクと弱弱しく動く心臓の音がシーラの掌に伝わって来る。今にも消えてしまいそうな小さな命に、シーラの胸はギュッと痛んだ。
(助けなきゃ)
シーラは周囲を見渡して安全なことを確認すると、掌を丸めて優しく小鳥を包み込み、急いで屋敷へ戻っていった。