【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
まるで当然だといいたげな言い方に唖然としてしまう。

(なんでそんなふうに言いきれるの? 初めて会ったのに……)

触れてはいけないものに触れてしまった……そんな気分だ。
ホレスに執着するならまだしも、シルヴィーに執着する意味がわからない。
アデラールは王太子なのに、この発言が正気だとは思えなかった。
戸惑いから言葉が出てこない。


「えっと……」

「十三年前のあの日から君のことが好きだった」

「じゅ、十三年前っ!?」


まさかアデラールがシルヴィーに対してこんな気持ちを抱いていたなんて思いもしなかった。
それにアデラールに会った記憶はまったくない。


「そう、十三年前も三年前も同じだ。君は僕の服に見惚れつつ、こうして魔法でレースを編んでくれたね」

「……魔法で?」

「それからずっと君を探していた。お礼も言えなかったからね。だから夜会で会えた時には運命だと思った。元侯爵の件がなければ、すぐにプロポーズしていたのに」

「あっ……!」

「思い出してくれた?」

「マリアも君に会いたいと言っていたよ。今でも蝶が刺繍されたハンカチを大切に飾っているんだ」

「…………!」


シルヴィーは十三年前の記憶を辿る。

(あの時の令嬢と令息はマリア王女殿下だったの?)

父がいない時にパーティーの招待状が届いた。
シュマイディト王国の貴族の令嬢や令息が一同に集まる大きなパーティーだ。
七歳になると、全貴族に招待状が届くというもの。
シルヴィーが貴族らしいことをしたのは、そのパーティーに参加したことくらいだろうか。
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