【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「すぐに迎えなかったのは君が苦労して作り上げた居場所を無理やり奪いたくはなかったんだ」
「……!」
「ここで暮らす君はとても楽しそうだったから。その笑顔は見られるなら……このままでいいと思った」
「……アデラール殿下」
「たとえそこに僕がいなくても君が幸せならそれで……」
この言葉からアデラールはシルヴィーのことを一番に思って、動いていたのだとわかる。
国のためや自分の立場を思うなら、すぐに結婚するべきなのだろう。
「けれどホレスの魔法の発現が予想以上に早かった。これ以上、ここに留まらせることはできない」
「ぁ……」
「これほど大きな力をコントロールするのは大変なんだ。父や僕でないと対処することは難しい。そうでなければ周りにもホレス自身も危険な目にあってしまう」
アデラールの言う通りだろう。
ホレスには無理をさせてしまい、あれだけの突風がその場で起こってしまえば大惨事になってしまうに違いない。
「今回はすぐに駆けつけられなくてごめんね。公務があったから……」
アデラールはリナやベンたちから報告を受けて、すぐここまで来てくれたのだという。
(アデラール殿下には感謝しないと……)
シルヴィーは心の底から安心していた。すると不思議なことにどんどんと体の力が抜けていく。
アデラールはそれを予期していたのか、すぐにシルヴィーが倒れないように体を支えてくれた。