【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「……リサ!」
「シルヴィー様、お目覚めですか?」
リサの喋り方がおかしくなってしまったと、シルヴィーは動きを止めて眉を寄せた。
彼女は何事もなかったかのように微笑むと、手際よく紅茶を用意していく。
おいしそうなサンドイッチが目の前に出されると自然とお腹が鳴る。
「軽食をお持ちいたしました」
昨日まで同僚兼友人として過ごしていたため違和感は拭えない。
「……リサ、その喋り方はどうにかならないの?」
「なりません」
シルヴィーが不満に思い黙ってリサを見つめていると、彼女の表情に焦りが滲んでいる。
暫く沈黙が流れたが、先に折れたのはリサの方だった。
「はぁ……二人きりの時だけよ?」
「ありがとう、リサ」
ため息を吐いたリサは手際よく食事の準備を終えた。
「ホレスは……?」
「今は私の子どもたちと遊んでるわ。それとミーシャさんも体調があまりよくなかったから医師の診察を受けてゆっくり休んでいるの」
「お母さんが!?」
シルヴィーが休んでいる間、母はシルヴィーの分まで働こうとかなり無理をしていたそうだ。
また病が再発したらどうしようと心配していることを察したのか、リサは「王家の主治医は優秀よ。大丈夫」と、安心させるようにそう言った。