【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
シルヴィーの母親が事故死する前まで、母とミリアムは肩身の狭い思いをしていた。
ここの屋敷では暮らせなかったのだ。
父が本当に愛しているのは母だけだとわかっていたが、今の生活を知ってしまえば悔しくて惨めで二度とあんな生活に戻りたくはない。
だからこそシルヴィーの行動に苛立ちを感じるのだ。

(……何を考えているのかしら。もう諦めているだけかもしれないわね)

だけどロランがシルヴィーの婚約者になったことで危機感を覚える。
母と共にすぐに抗議しに向かった。
『お前はアデラール殿下の婚約者になるのだろう?』
そう言われて、何も言い返せなくなった。
何故ならミリアムは自分がアデラールを射止めてみせるからと、父にドレスやアクセサリーを強請っていたからだ。

(最初から伯爵家を継ぐと言っていれば、ここにあるものは全部わたくしのものだったのに……!)

ミリアムはそこの部分を後悔していた。
アデラールは誰に対しても平等で誰も特別扱いしない。
噂ではもう心に決めた人がいるらしいが、ミリアムは違うと思っていた。

(アデラール殿下はそろそろわたくしの魅力に気がつくべきよ! わたくしを選べば幸せになれるのにっ)

ミリアムはめげることなくアデラールに何度も何度もアピールしていた。
それなのにダンスも誘われないし、手紙の返事もこない。
とっくに婚約者になってほしいと申し出がきてもおかしくないはずなのに。

もしかしたらやきもちを焼いて、ミリアムとの仲を引き裂こうとしている令嬢がいるのかもしれないと追い払ってみるものの何も変わらない。
だけどミリアムは自分が選ばれるはずだと確信していた。
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