【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
(アデラール殿下はなんて説明したのかしら……酔っ払って王太子を襲ったことがバレていたら)

ほんのりと冷や汗が滲む。シルヴィーはゴクリと唾を飲み込んだ。
関係を持たなければ、アデラールの子どもが産まれることはない。
アデラールも酔っぱらったシルヴィーに襲われたとなれば説明しづらいだろう。

(ど、どうしましょう……)

シルヴィーはへらりと笑いつつ誤魔化すことしかできない。


『アデラールから聞いたわ。毒で判断力は鈍っていたとはいえ、あなたを傷つけてしまった。だから逃げたのよね……本当にごめんなさい』

『…………え?』

『申し訳なかった』


深々と頭を下げる国王夫妻にシルヴィーは必死に頭を上げるように説得する。
どうやらアデラールはすべて自分のせいだと説明しているようだ。


『アデラールはあなたを大切にして償いたいと思っているの。わたくしたちも同じ気持ちよ』

『こんなことを我々が言うべきではないだろうが謝らせてくれ』


心苦しくなったシルヴィーは胸元に手を当てつつ考えていた。
こう言わなければシルヴィーが逃げ出した説明がつかないということだろう。

(アデラール殿下は何も悪くないのにどうしてこんなことを……!)

ここで真実を言えば、二人にはしたないと罵られるかもしれない。
けれどシルヴィーは一方的にアデラールが責められるのを今後も聞かなければならないのだろうか。
シルヴィーはゆっくりと首を横に振る。
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