【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
少し前まではホレスと母と三人で慎ましい生活をしていたのに、まるで物語の世界に入り込んでしまったのかと思うほどに贅沢な暮らしをしている。
 
今ではシルヴィー付き侍女がリサを含めて三人。
ホレス専用の侍女や家庭教師も決まり、目まぐるしいほどに環境が動いていく。

シルヴィーはマリアのドレスに使用するレースを編み終え次第、今後のことを考えようと思っていた。
王妃教育はその後でいいそうで、シルヴィーには十分なほどに時間が与えられていた。
周囲のことを気にするシルヴィーにアデラールは『気にしなくていい』と、言ってくれている。

(アデラール殿下は本当にわたしでいいのかしら……)

そこまで大きな範囲ではないのと、ホレスの面倒や家事をする必要もないので驚くほどに作業が進む。

(でも両陛下があそこまでするなんて……)


これはシルヴィーが城に滞在して一週間経った日のこと。

レースを編んでいるとシュマイディト国王と王妃、アデラールがシルヴィーの部屋を訪ねてきたことで驚き肩を跳ねさせた。
すぐに挨拶をしようとしたが、ここは公の場ではなくプライベートだから普段通りでいいと制す手のひら。
人払いを行い、静まり返った部屋の中。険しい顔でこちらに近づいてきた王妃はシルヴィーを抱きしめる。


『アデラールにあなたとの話は聞いているわ』


シルヴィーの心臓がドクリと跳ねる。
アデラールが夜会の状況をどう話しているのかわからないためだ。
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