【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
アデラールは久しぶりの店に興奮して走り回るホレスを抱えている。
店で一緒に働いていた人たちは、アデラールの姿を見てうっとりとしていた。
そして次々に「あなたは世界一の幸せものね」「うらやましいわ!」と、肩に手を置いて仕事に戻っていく。
そんな中、興奮した様子のリーズが隙を見てシルヴィーに耳打ちする。
「聞いたわよ! 禁断の恋だったんでしょう!?」
「禁断の恋……?」
するとリーズが手を合わせて、物語を聞かせるように話してくれた。
幼い頃からアデラールはシルヴィーに想いを寄せていた。
けれどシルヴィーは母親を守るため、元レンログ伯爵家に虐げられ縛られていたためその想いを拒否。
アデラールのためにもシルヴィーは関係を隠していた。
その後、追放されてすべてを失ったシルヴィーは平民になる道を選択する。
夜会の日、仮面をつけてアデラールとの関係を断ち切るために一度だけ関係を持ち、彼の立場を思い姿を消す。
けれどそこで子どもを身ごもっていることを知り、一人で育てる決意をした。
三年後にアデラールがシルヴィーを見つけてプロポーズをして、晴れて二人は結ばれた……と、ここまで一度も息を吸わずに言いきったリーズはうっとりした表情だ。
「そ、その話って……」
「アデラール殿下から聞いたわ。とってもロマンティックよねぇ」
「……!」