【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
(なんだかわたし、どんどんとアデラール殿下のことが気になっているような……)
今まで無理やり諦めようとしたものが目の前にある。
違った形にしろ好意を向けられていることに戸惑いを感じていた。
それは好きになるのが怖いという感情だ。自分が育ってきた環境が原因だろう。
どうすればいいかわからない、そんな気持ちが渦巻いている。
(もし……アデラール殿下もあの人と同じだったら? ううん、アデラール殿下はホレスがいてもわたしに優しくしてくれた)
母と父は政略結婚だった。義母との仲を邪魔していた母を拒絶していたのだ。
そして自身の属性を継がなかったシルヴィーを嫌っていた。売り払ってもいいと思うほどに……。
「ア、アデラール殿下は他に好きな人はいないのですか?」
「僕が好きなのはシルヴィーだけだよ。そろそろ信じてくれてもいいんじゃないかな?」
アデラールから感じる笑顔の圧。
シルヴィーの心は揺れていたが、やはり彼の言葉を素直に信じることはできなかった。
「やっぱり信じられませんっ!」
「……どうして? そんなに力強く言わなくても……」
彼の眉が下がる。悲しむ彼に心が痛むが、どうしてもアデラールの好意を素直に受け入れることができない。
「アデラール殿下がわたしを選ぶメリットがありませんから! それにたった一夜の関係で、ここまで執着するなんて変です。命を救ったわけでもないのに……」
今まで無理やり諦めようとしたものが目の前にある。
違った形にしろ好意を向けられていることに戸惑いを感じていた。
それは好きになるのが怖いという感情だ。自分が育ってきた環境が原因だろう。
どうすればいいかわからない、そんな気持ちが渦巻いている。
(もし……アデラール殿下もあの人と同じだったら? ううん、アデラール殿下はホレスがいてもわたしに優しくしてくれた)
母と父は政略結婚だった。義母との仲を邪魔していた母を拒絶していたのだ。
そして自身の属性を継がなかったシルヴィーを嫌っていた。売り払ってもいいと思うほどに……。
「ア、アデラール殿下は他に好きな人はいないのですか?」
「僕が好きなのはシルヴィーだけだよ。そろそろ信じてくれてもいいんじゃないかな?」
アデラールから感じる笑顔の圧。
シルヴィーの心は揺れていたが、やはり彼の言葉を素直に信じることはできなかった。
「やっぱり信じられませんっ!」
「……どうして? そんなに力強く言わなくても……」
彼の眉が下がる。悲しむ彼に心が痛むが、どうしてもアデラールの好意を素直に受け入れることができない。
「アデラール殿下がわたしを選ぶメリットがありませんから! それにたった一夜の関係で、ここまで執着するなんて変です。命を救ったわけでもないのに……」