【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
埃まみれの床を磨きながらミリアムは下唇を血が滲むほどに噛み締めた。
他の令嬢たちは結婚して子どもが生まれて役割を果たしている。
それなのにミリアムはパーティーやお茶会に満足に出席することも叶わない。
年に一回、開かれている王家主催のパーティーに向けてなんとかドレスを調達するのに精一杯。売れ残った安物のドレスは袖を通すのすら屈辱だ。
なんとか結婚相手を探そうとするも白い目で見られてミリアムの惨めな姿を嘲笑いにくる令息や令嬢たちばかり。
何もしなくても令息たちの方が寄ってきた頃とはまるで違う。

(こんな家に嫁いでくれる令息なんているわけないじゃないっ!)

この窮地を救うためにはミリアムが結婚して婿入りしてもらうこと。
もう爵位すら価値がないと言われているようだ。
それに今年で二十一歳になってしまった。
周囲は着々と婚約者と結婚する中で、ミリアムだけ取り残されている。

こうなったら王太子のアデラールに助けを求めるしかないと現実逃避する日々。
そうでなければ救われない。
物語のようにミリアムを迎えに来てくれるのはアデラールだけだ。

(アデラール殿下、わたしのことを思い出して……! 早く迎えに来てください。あなたの愛するミリアムはここにおりますわ)
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