【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
今は怒りで頭がいっぱいでこの噂がどこまで真実なのか、そうじゃないのか計り知れない。
社交界に出ておらず噂程度の出来事ではあるが、もしこれが事実ならば許せることなど一つもなかった。
「それに事故死したシルヴィーの母親も生きているそうじゃない!」
「な、なんだと!? ミーシャが生きている……? そんなはずはっ」
「────ッ!」
父と母の目は大きく見開かれていた。
つまり彼女の馬車の事故は偽装したものだということだ。
「じゃあ……私がやったことはバレているの?」
母はシルヴィーの母親を毒殺しようとしたことを言っているのだろう。
いつまで経っても居座り続ける彼女を邪魔に思い、母はシルヴィーの母の毒殺を企てた。
けれどその前に馬車の事故で亡くなったのだ。
だが、今大切なのはそんなことではない。
奴らが自分たちより幸せになることが許せないからだ。
「馬車の事故を偽装までして小賢しくも生き延びていたのよ。今はレオナール公爵邸にいるって……っ! すべてあの女が仕組んっ」
ミリアムがいい終わる前に、母がテーブルを思いきり叩いた。
何度も何度も繰り返し、まるで怒りをぶつけているようだ。
テーブルの上に乗っていた書類や羽根ペン、インクが次々に床に落ちていく。
母はヒールでそれを何度も何度も踏み潰していた。
「なんでよ……なんであの女が上にいくの?」
どうやら母もミリアムと同じ気持ちのようだ。
「本当のことを教えて差し上げないと……っ! アデラール殿下が可哀想だわ」