【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
「今すぐですか?」
「えぇ、そうよ! 今すぐに出ていってちょうだい。もうアンタは用済みなのよ」
「……お父様の許可は?」
シルヴィーが淡々と問いかけると、ロランとミリアムは馬鹿にするように笑った。
「物分かりの悪いお前のために説明してやろう。もうお前は今この瞬間から平民なんだ」
「シルヴィーお姉様、行くところはなくなっちゃうわね。可哀想に……本当に魔法の力にも恵まれずに惨めね」
「…………」
「わたくしのように、お父様と同じだったらよかったのに」
シュマイディト王国には魔法という特別な力があった。
魔法の属性は結婚や爵位に大きな影響のあるもので、結婚相手にとっても重大といえるだろう。
(いつかはこうなると思っていたから、さして驚かないけど……)
どうやら二人はシルヴィーを嵌められたと思い、優越に浸っているようだ。
シルヴィーに無関心な父はくだらない理由で簡単に切り捨てられてしまう。それはわかっていた。
だからこそシルヴィーは前々から準備を進めていたのだ。
(案外、早かったのね。こうもあっさりと追い出してくれるなんて思わなかったけど)
シルヴィーは俯きつつも唇を歪めた。
この時をずっと待ち望んでいたのだ。やっと解放される。
そう思っているのはシルヴィーの方なのに二人は高らかに笑っていた。
(これで……これでやっと自由になれるわ!)