【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
(一体何があったというの! ああ、もうわからないけどごめんなさい~!)

けれどそれも酒が見せる幻だと思い、彼らに背を向けて長い長い廊下を走り出す。
勢いよく走ったせいか目眩がするため、壁に手を置いて一息吐く。
今の状況ではとてもヒールでは走れそうにない。
ヒールを脱いで手に取ると、シルヴィーは屋敷の中を凄まじい早さで駆け抜けていく。

しかし先ほどの会場の雰囲気は明らかに状況は違っていた。
楽しげにしてしていた貴族たちはみんな仮面を取っており一列に並んでいる。

(こんなふうに並んで何をしているのかしら……?)

まだ夜会が終わっていないことや外が真っ暗なところを見るに、あの部屋にいたのは一、二時間程度のようだ。
話し声であふれていた会場は、笑い声もなく誰も喋らずに暗い雰囲気になっているが、今のシルヴィーは気にしている余裕はない。
騎士のような人に話しかけられそうになるが、素早い動作でかわして再び全力で走り抜けていった。

(ううっ……吐きそう!)

シルヴィーは全力で走っていることもあり、吐き気を抑えていた。
今、止められてしまえばすぐに嘔吐してしまうに違いない。
そうすれば悲惨なことになってしまう。
騒ぎに紛れて会場を抜け出して、外の空気を思いきり吸い込んだ。
少しだけスッキリしたものの、胃の不快感は消えはしない。
そのまま門を出て、フラフラとした足取りで街へと向かう。
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