【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
皆の視線の先……片手に鞭と明らかに尻を鞭で叩かれた跡があるラディング侯爵。
アデラールのはだけたシャツを見て、そう思ったのだろう。


「僕は令嬢を助けようとしだけだ。それにこれは彼女が……っ」

「「「「…………」」」」


考えてみても巨漢のラディング侯爵を拘束して、鞭で叩くなど普通の令嬢がやるはずがない。
その令嬢も今は部屋にいないため、説明することができないし説得力もないだろう。
アデラールも彼女がどうやってやったのかまったくわからない。
なんとか説明するものの、向けられる疑惑の視線にどうすることもできなかった。

そんなタイミングでラディング伯爵が目を覚ます。


「あの小娘っ、シルヴィー・レンログめっ! あんな恐ろしい本性を隠していたとは信じられない! あんな横暴な娘を見たことはないぞっ」

「…………」


アデラールはラディング侯爵が怒りに震えて叫ぶ言葉を聞いてから、冷めた視線を近衛騎士たちに送る。
彼女の名前を知れたのは喜ばしいことだが、それをこの男の口から発せられることが不愉快だった。

(まさかレンログ伯爵家の令嬢だったとは……あまりいい噂を聞かない。たしか事業が失敗続きで親戚に借金ばかりしているという。娘はミリアム嬢ともう一人。資金難で娘を売ろうとしたのか?)
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