そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
「…………なあ」
蓮が、ぽつりと口を開く。
「俺さ……お前のこと…まだ全然知らねぇんだなって、気づいた。」
私のことなんて、知ってもいいことないと思うけど…。
「何で、そんなに強くいられるのか。何を見て、何を抱えて生きてきたのか……。」
まっすぐ、逃げ場のない瞳で見つめられる。
「俺は、彩葉のことがちゃんと知りたい」
そう言って、蓮は縁側に腰を下ろす。
立ち去ることもできたのに、
私の身体は、なぜか動かなかった。
ぎゅっと、拳を握る。
「……たいした話じゃないよ」
たいした話じゃないわけがない。
でも、そう言うしかなかった。
……なんでだろう。
蓮にこんなふうに真正面から見られると、強く断れない。
どうせ目も冴えちゃって、すぐには眠れないし。
ほんの少しだけなら……。
そう思って、私も蓮の隣に腰を下ろした。