そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~




「…………なあ」


蓮が、ぽつりと口を開く。


「俺さ……お前のこと…まだ全然知らねぇんだなって、気づいた。」


私のことなんて、知ってもいいことないと思うけど…。


「何で、そんなに強くいられるのか。何を見て、何を抱えて生きてきたのか……。」


まっすぐ、逃げ場のない瞳で見つめられる。


「俺は、彩葉のことがちゃんと知りたい」


そう言って、蓮は縁側に腰を下ろす。


立ち去ることもできたのに、
私の身体は、なぜか動かなかった。

ぎゅっと、拳を握る。


「……たいした話じゃないよ」


たいした話じゃないわけがない。

でも、そう言うしかなかった。


……なんでだろう。

蓮にこんなふうに真正面から見られると、強く断れない。


どうせ目も冴えちゃって、すぐには眠れないし。
ほんの少しだけなら……。


そう思って、私も蓮の隣に腰を下ろした。




< 140 / 303 >

この作品をシェア

pagetop