そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
「…律、意地悪」
「ごめん。確かに今のはちょっと意地悪だったね」
律がそっと私の頭に手を添え、優しく撫でた。
昔もこうしてよく触れられた。
あの時と同じ、穏やかで柔らかい感触。
「子供扱いしないで」
私が口を尖らせると、律は少し目を見開いて、
「俺、彩葉のこと子ども扱いしたこと、一度もないよ?」
そう言ってゆっくり笑う。
甘くてあたたかい笑顔。
「女の子扱いなんだけど」
い、いつもそんなこと言わないのに…。
律は私の横に落ちた短い髪を指で軽くすくい上げて耳にかける。
「ねぇ。あいつなんかじゃなくて、俺にしときなよ」
その直球の言葉が、不器用で真っ直ぐな蓮とはまったく違う種類の甘さで、胸を強く揺さぶる。
頬に手が添えられ、おでこを軽くコツンと触れられた。
距離が近いことなんていつものことなのに、
4年間も会っていなかったからか、心臓がぎゅっと掴まれたように跳ねる。
「ちょっと、律…近い」
誤魔化すように思わず目をそらすと、律はわざとらしく笑った。
「え〜今更じゃん。俺たち元恋人でしょ」
「元恋人“役”ね!しかもたった一週間!」
「俺、結構本気だったよ?」
どきん、と心臓が跳ねた。
な、何言ってるの、この人……!
さっきから、急になに…!!