運命的な出会いには裏がある。
「…うーん、こんなことあるの?とは確かに思うけど…、どれも偶然だと思う。暖は私の事前から知ってたとか、そう言うのが無きゃ計画するのも無理だろうし、そもそも私が暖の事を知らないからそれは無いだろうなって思ってる」

「別に琴葉が俺を知らなかったとしても、俺は知ってるかもとは思わないの?」

「いや、私そもそもそんなに追われる様な魅力的な女じゃないし!後は、暖をどこかで見てたら絶対忘れない自信しかない!」


 そう言い切ったタイミングで料理が運ばれてきて、目の前のラーメンが湯気を放っている。

 匂いまでもが上がってきていて、とっくに限界まで空腹だったのもあり、腹の虫が静かにではあるけど鳴いていた。

 聞かれていないか恥ずかしくなってぐっとお腹に力を込めて、暖の方を見ると気付いている様子は無かった。


「お腹減った!食べよう!」


 話を変えるにもちょうどいいと、そう提案すると暖は「うん」と返事をして割り箸をこちらに渡す。「ありがとう」とお礼を言った後、いただきますと両手を合わせる。

 それから割り箸をパキッと音を立てて真っ二つに割り、その箸で麺を掬う。

 暖との話を逸らした事に理由はない。だけど、強いて言えばもう何も言わず運命だと信じたかったのかもしれない。

 だって、ずっと運命的な恋がしたいって思ってきたんだから、もし許されるならこのまま盲目だと何だと言われても落ちてしまいたいって既に思っていた。
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