運命的な出会いには裏がある。
「本当に良かったの?ごちそうになっちゃって」

「全然。誘ったの俺だから」


 夕食を共にした後、お会計を済ませてくれたのは暖だった。

 私が財布を出した瞬間に「いいから」と制して、1銭も出させてはくれなかった。

 家は同じ方向だから当然一緒に歩いて帰る。


「暖は今の仕事でどれくらい働いてるの?」

「新卒で入ってからだから8年くらい?」

「高校卒業してからずっと働いてるんだ。すごいね」

「琴葉は?今の在宅の仕事ずっとしてんの?」

「いや、医療事務でちょっと働いてすぐやめちゃった。それからは、今の在宅の仕事」

「医療事務か…、確かに大変そう。全くどんな仕事か想像付かないけど」


 医療事務は受付や会計、医療報酬業務、患者への案内や電話対応などやることは様々だ。

 業務内容的には嫌では無かったけれど、職場の雰囲気や人付き合いの方が大変だった。


「暖は何で今の仕事にしたの?」

「頭使う様な仕事苦手だから、身体使う仕事しようと思って。場所覚えて荷物運ぶくらいの方が向いてるなって思っただけ」


 暖らしいさっぱりした理由に思わず笑っていると、暖も笑う私を見て軽く笑いを零している。

 最近話す機会が増えて、少しずつ暖の事を知れている様な気がする。
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