運命的な出会いには裏がある。
「俺はこうやって2人で写真に写りたいけど。スマホでも綺麗に撮れるしそのカメラの出番はまた今度な」


 そう言われれば黙って頷くしかない。

 暖の距離が近くて付き合ってしばらく経ってもまだドキドキする。
 彼の顔を見上げると、彼もこちらに向いて少し笑うと外だと言うのに軽く唇に口付けていた。


「なああああああんっ!」

「なんその声」


 私の驚いた声に少し笑ってようやく私の肩から手を離した。

 外でキスとかする人だなんて思っていなかった。


「ここ、外!This is 外!」

「ウケる。誰も見てねぇって。初めての2人きりの旅行なんだから良いじゃん。浮かれさせてくれよ」

「見てなくても外は恥ずかしい!」


 この少し開放的な所でというのも、私の羞恥心は煽られていく。

 暖がこんな人だった、なんて付き合うまでは全く知らなかった部分で、交際してから人前でも遠慮なくくっついてくる所がある。

 可愛らしくて決して嫌では無いのだけど、まだ慣れていない。
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