運命的な出会いには裏がある。
 髪に触れられているだけで少し照れ臭くなってまだ恥ずかしい。

 少し顔を俯かせると暖は私の顔を覗き込むなり少し笑ってくる。


「いまだに照れて赤くなってんの可愛い」


 そんな言葉も掛けてくるから余計に囁かれた耳元が熱くなる。

 暖から逃げる様に手を振り払おうとしても離してももらえず、顔が真っ赤になっている私を見て笑っている。

 いつもこうして揶揄われている気がする。

 私が少しむくれて暖の手を繋ぎながら川沿いを歩く。

 その間暖は私に引っ張られたまま、黙って着いてきてくれていた。


「てか部屋すごかったよな」

「てか、周りのテントもあんな感じだったけど、夜あんなむき出しで寝るの?」

「カーテンかけるに決まってんじゃん」

「あ、そっか」


 部屋にカーテンが付いているのに気付かなかった。

 テントがあんなホテルの一室みたいに出来るなんて思わなかった。グランピングというものがある事すら知らなかったし。


「夜はテントの中で星見たりできるから綺麗だと思うよ」


 そう言いながら私の横に並んで、歩幅を合わせてくれる。

 こういうちょっとした優しさも結構好きだったりする一部だ。
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