Reunion love.
 あ、転ぶかも。と固い地面に直面するのを目を瞑って備えようとしていたのだけど、腰辺りをぐっと引き寄せられて顔や身体に衝撃が来ることは無かった。

 目をそっと開けると至近距離に太一くんの顔があって、そのまま見つめ合う形になる。


「…っ、あっぶねぇな」


 私が転ぶ前に反射的に引き寄せてくれたのだと思う。もう少し近付けばキスしそうな程の距離感に頭が働かない。

 そんな私の顔を見て太一くんは気まずそうに視線を逸らしてから私の身体をそっと離す。


「…だから嫌なんだけど。本当」

「ごめん…」


 事故とは言え、何も思っていない女に至近距離で見つめられて嫌に決まっている。

 だけど私が落ち込んだのを見た太一くんが「純花に対してじゃない」と言葉を吐いた。


「…どういう意味?」

「少しでも触れたらそう言う気になるって言ってんの」

「…な、私の事好きじゃないって言ったくせに」


 太一くんの言葉の意図が読めず動揺する。好きじゃないとも、抱かないとも言われたのだ、私は。


「上手くいかないって分かってんのに、誰が好きになりたいって思うわけ」

「…どういう意味?」

「純花が俺の前だと自分らしく居れないから、だから別れてずっと好きじゃないって言い聞かせてんのに、困るって言ってんの」


 その発言は、もう言い逃れ出来ない程に太一くんの気持ちが出ている様な気がして、私が太一くんを見るとこちらから顔を逸らして口元を抑えていた。
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