鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「なんだか部ちょ――」

 また『部長』と呼びそうになってしまった。梢は軽く咳払いをしてから、恋人としての呼び名に言い換える。

「孝仁さんらしいですね。あまりペットを飼っているイメージがなかったんですけど、そういう事情なら納得です」

 きっとスイを放ってはおけなかったのだろう。一見冷たいようで、実は優しい孝仁らしいと思う。

「最初は無責任なことはできないからと断ったんだがな。信頼できる人間が俺しかいないと言われたら、引き受けるほかなかった。だが、そのおかげで、かけがえのない家族ができた」
「スイちゃんもきっと同じこと思ってると思いますよ」

 スイは本当によく孝仁に懐いている。スイにとっても、孝仁はかけがえのない存在になっているに違いない。

「だといいな。スイと出会って、俺はいいことずくめだから。なにしろスイのおかげで、梢というかけがえのない恋人ができた」

 自分のこともかけがえのない存在と言ってもらえて、くすぐったくも、温かい気持ちになる。

「……同じくです」

 梢ははにかみながら小さくつぶやいた。

 ちらと横目で孝仁を見てみると、彼の表情もやわらかく見える。互いを大切に思っていることがわかって、胸に喜びが満ちていった。
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