鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「まったく、あんなのは放っておけ」

 突如背後から発せられた声に仰天する。

「部長!? どうしてここに!?」

 振り返ると、孝仁がゆっくりと階段を下りて来ているところだった。

「企画部に所用だ。通りすがりにあれだけ騒がれたら足も止める」

 少しも孝仁の気配に気づかなかったが、どうやら先ほどのやり取りを見られていたようだ。

 予想していなかった事態に動揺して、上手く言葉が出てこない。

「あ、それは、えー……その……申し訳ありません」

 改めて己の発言を振り返ってみても、本当に余計なことばかり言っていた。『すごまれている』だの、『厳しい』だの、『正論を振りかざす』だの。

 総じて梢が言えることは孝仁に対する謝罪の言葉だけだった。
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