鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「部長はちゃんと相手のことを思って行動される方です。相手を虐げることはしません。部長に指導してもらっている私が言うんだから間違いありません。どうしても信じられないなら、部長に噂の真偽を確認してきます」

 梢がそう語りながら冷静さを取り戻した一方、目の前の彼らは慌てふためいている。

「ヤバい、ヤバい、ヤバい! おい、このままじゃ、ヤバいって」

 たれ目の男が慌てた様子で言えば、つり目の男も動揺した様子で「わかってる」と返している。

「と、取り消します! 取り消しますんで、確認するのはやめてください。本当にすみませんでしたっ!」
「おい……! 一人で逃げるなよ」

 二人はとんでもないスピードで階段を駆け下りていく。梢が引き止める間もなく、あっという間にその姿を消し去った。

 これではまるで梢が脅かしたようではないか。孝仁に関する誤解が解けたかどうかも甚だ怪しい。むしろ、さらなる誤解を生んでしまったかもしれない。

「はあー、取り消すって、絶対口先で言っただけでしょ……失敗した」

 梢は肩を落とし、己の対応を反省する。無計画に飛び出した自分が恥ずかしい。勢いだけでどうにかしようとしていたが、こういうときにこそ孝仁の持つ冷静さが必要だろう。見習うべきところがまた一つ増えてしまった。
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