鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「牧野ちゃん。ここ空いてるよ」
梢から数歩離れた場所から、同僚の篠田香里がこちらに向かって手招きをしている。
先ほどは気づかなかったが、篠田の隣――最初に梢が立っていた辺りに空席がある。灯台下暗しとはこのことだろう。あまりに近くて気づかなかったようだ。
梢はすぐさま体を反転させ、篠田の横へと滑り込んだ。
「篠田さん!」
「牧野ちゃん、お疲れ」
篠田は菩薩とも思えるような優しい笑みで迎え入れてくれる。彼女は梢の三つ上の先輩だが、孝仁とは違い、いつも優しく寄り添ってくれるのだ。鬼のしごきに耐えらるのも、篠田という救いがあるからにほかならない。
「ありがとうございます。篠田さんが呼んでくれなかったら、部長の隣で地獄の時間を過ごすところでした」
孝仁とは席が離れているから心配ないだろうが、万が一にも本人の耳に届かないようにこそっと本心を漏らす。
篠田は口元に手を当てて、くすくすと笑いをこぼしている。
「まあ、飲み会くらい鬼から解放されても罰は当たらないでしょ。ね?」
「ああ、篠田さんは神さまですか! 本当に、本当にありがとうございます。このご恩はいつか必ず!」
「あはは、大袈裟」
篠田は笑っているが、梢にとっては切実なことだ。週末を気持ちよく迎えられるかどうかはこの時間にかかっている。
梢から数歩離れた場所から、同僚の篠田香里がこちらに向かって手招きをしている。
先ほどは気づかなかったが、篠田の隣――最初に梢が立っていた辺りに空席がある。灯台下暗しとはこのことだろう。あまりに近くて気づかなかったようだ。
梢はすぐさま体を反転させ、篠田の横へと滑り込んだ。
「篠田さん!」
「牧野ちゃん、お疲れ」
篠田は菩薩とも思えるような優しい笑みで迎え入れてくれる。彼女は梢の三つ上の先輩だが、孝仁とは違い、いつも優しく寄り添ってくれるのだ。鬼のしごきに耐えらるのも、篠田という救いがあるからにほかならない。
「ありがとうございます。篠田さんが呼んでくれなかったら、部長の隣で地獄の時間を過ごすところでした」
孝仁とは席が離れているから心配ないだろうが、万が一にも本人の耳に届かないようにこそっと本心を漏らす。
篠田は口元に手を当てて、くすくすと笑いをこぼしている。
「まあ、飲み会くらい鬼から解放されても罰は当たらないでしょ。ね?」
「ああ、篠田さんは神さまですか! 本当に、本当にありがとうございます。このご恩はいつか必ず!」
「あはは、大袈裟」
篠田は笑っているが、梢にとっては切実なことだ。週末を気持ちよく迎えられるかどうかはこの時間にかかっている。