至上最幸の恋
「プレイボーイに、既婚者……こんなこと、週刊誌に嗅ぎつけられたらどうするの。特に磯崎さんは女性との噂が絶えない人だから、常にマークされているのよ」

 やましいことは、なにもないのに。瑛士さんも磯崎さんも、とても誠実な方なのに。週刊誌に怯えて、身を縮めていなければならないのかしら。

 なんだか納得がいかないわ。どうして磯崎さんが、こんなふうに言われなくてはならないの。

「磯崎さんがプレイボーイだというのは、ただの噂ですわ。紳士的で誠実な方です。この前も……」
「あのね、主観は関係ないの」

 私の言葉を遮って、高梨さんが身を乗り出す。その迫力に、思わず身を引いてしまった。

「この業界では、周りにどう思われるかがすべてよ。真偽に関係なく、噂になったという時点でイメージに傷がつくの。あなたの商品価値を落とさないよう、スキャンダルの芽は刈り取っておかないといけないんだから」

 商品価値……そうよね。事務所にとって、私は「商品」なのよね。慈善事業ではないのだから、そう考えるのは当然だわ。

 頭では理解しているけれど、胸が苦しくなる。私が私でいることを、否定されているようで。

「もう一度、確認するけれど。あなた自身は、好意があるわけじゃないのよね? 磯崎さんにも、浅尾さんにも」

 ここで頷くと、自分の気持ちに嘘をつくことになる。だけど、本当のことなんて言えるわけがない。
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