至上最幸の恋
もう子どもじゃないもの。きちんとわきまえている。
だから否定しなくちゃ。おふたりは、ただの知人だと。瑛士さんや磯崎さん、そして事務所にも、ご迷惑をおかけするわけにはいかないから。
「……おふたりのことは、アーティストとして尊敬しています。ただ、それだけです」
姿勢を崩さず、そう告げる。高梨さんはしばらく私を見つめたあと、無表情のまま頷いた。
「そう。それなら、今後はふたりと個人的に会わないこと。分かったわね?」
「はい、分かりました」
「このあとは、ピアノのレッスンだったわね。黒瀬くんに送らせるわ」
本当は、レッスンの前に少し寄り道をしたかったのだけれど……できるだけ自由な時間を与えないように、ということなのかしら。
仕方ないわ。いまは我慢しなくちゃ。私はまだ、自分の意思を強く主張できる立場ではないもの。
黒瀬さんのばつの悪そうな気配を横に感じながら、無言で事務所を出る。
「……すみません、エリサさん」
駐車場で車に乗り込むと、黒瀬さんが消え入りそうな声で言った。
「最近のエリサさんの様子を、いろいろ訊かれて……特に異性関係のことを。全部、話してしまいました。」
「謝らないでください。黒瀬さんは、ご自分のお仕事をなさっただけですから」
それでも黒瀬さんの表情は冴えず、静かに車を発進させた。
だから否定しなくちゃ。おふたりは、ただの知人だと。瑛士さんや磯崎さん、そして事務所にも、ご迷惑をおかけするわけにはいかないから。
「……おふたりのことは、アーティストとして尊敬しています。ただ、それだけです」
姿勢を崩さず、そう告げる。高梨さんはしばらく私を見つめたあと、無表情のまま頷いた。
「そう。それなら、今後はふたりと個人的に会わないこと。分かったわね?」
「はい、分かりました」
「このあとは、ピアノのレッスンだったわね。黒瀬くんに送らせるわ」
本当は、レッスンの前に少し寄り道をしたかったのだけれど……できるだけ自由な時間を与えないように、ということなのかしら。
仕方ないわ。いまは我慢しなくちゃ。私はまだ、自分の意思を強く主張できる立場ではないもの。
黒瀬さんのばつの悪そうな気配を横に感じながら、無言で事務所を出る。
「……すみません、エリサさん」
駐車場で車に乗り込むと、黒瀬さんが消え入りそうな声で言った。
「最近のエリサさんの様子を、いろいろ訊かれて……特に異性関係のことを。全部、話してしまいました。」
「謝らないでください。黒瀬さんは、ご自分のお仕事をなさっただけですから」
それでも黒瀬さんの表情は冴えず、静かに車を発進させた。