至上最幸の恋
「磯崎さん、すみません。私なにか……」
「ほら、お茶でも飲んで」

 私の言葉を遮って、磯崎さんが柔らかく微笑む。
 怒っているわけではないみたい。そうよね、磯崎さんはそんな方ではないもの。まずは落ち着いて、お話を伺わなくちゃ。

 一度深く呼吸をして、ゆっくりとお茶を口に含んだ。あたたかくて、ほっとする。

「……最初にエリサちゃんを撮影したとき」

 私が落ち着くのを見て、磯崎さんが静かに口を開く。

「エリサちゃんは、プリズムみたいだなって感じたんだ」
「プリズム……?」

 磯崎さんは頷きながら、ポケットから三角形の透明なガラスを取り出した。

「プリズムは、光を屈折したり分散させる。これを通すと、同じ景色でもまるで別のものみたいに見えるんだ。光の入り方や角度ひとつで、いくらでも違う表情になる」

 目の前にプリズムをかざし、いろいろな角度を見せてくださる磯崎さんに、私は思わず前のめりになった。

「エリサちゃんの表情に、ああいう奥行きが出るのは、きっと浅尾さんの存在があるからなんだよね」
「それは……」
「高梨さんや黒瀬くんが心配していることも分かる。エリサちゃんの立場も、よく分かるよ。だけど」

 プリズムをテーブルに置いて、磯崎さんは真っすぐ私を見つめた。
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