至上最幸の恋
 それでも、感想はお伝えしなくちゃ。私のために描いてくださった絵だもの。
 けれど、なんて言えばいいのか分からない。この感情を表せる言葉が、どうしても見つからなかった。

 まごつく私を、瑛士さんが不思議そうに見つめている。なにか、なにか言わなくちゃ。

「あの、この絵を買い取らせていただけませんか?」

 勢いあまって、そんなことを言ってしまった。もう、感想ではないじゃない……。

「あ、え、えっと。とても素敵な絵で、それに、私のために描いていただいた絵ですし……」
「言うと思ったよ」

 瑛士さんが、小さく吹き出す。そして絵の前にあるベンチに腰掛けて、私にも座るように促した。

 こうして並んでいると、ウィーンの公園を思い出すわ。それだけで、胸の奥がじんわりと痛んだ。

「実は、ほかにもこの絵を買い取りたいって言ってくれた人がいたんだ。でも、エリサがそう言いそうな気がしたから、先約があるって断った」
「そんな……で、でも、ほかにご希望の方がいらっしゃるなら……」
「いいんだ」

 私の言葉を遮って、瑛士さんは真っすぐこちらを見た。

「この絵はエリサのために描いた。だから、エリサだけのものだ」

 ……そんなことを言われたら、もう観念するしかないわ。私は、この気持ちを忘れることなんてできない。
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