至上最幸の恋
「まさか、こんなところでお会いするなんて。あっ、お仕事中なのに、話しかけて大丈夫でした?」
「あぁ、大丈夫ですよ。そちらも仕事中ですよね?」
「はい、郵便局の帰りです。いつもは律の役目なんですけど、今日は休みだから私が代わりに」

 一瞬、思考が止まった。
 休み? 誰がだ。オレの聞き間違いだろうか。

「てっきり、ご主人とデートかと思っていましたよ。いつもふたりで、いろんなところへお出かけしてるって言うし」

 優子さんは、屈託のない笑顔で喋り続けている。
 どういうことだ。律は今日、確かに仕事へ出かけたはずだ。忙しいから遅くなるとも言っていた。

 優子さんが嘘をついているとは考えにくい。だとしたら……。

「そういえば、この前のMAPSのコンサート、どうでした? 律、ご主人と行けて嬉しかったみたいで、ずっと話してましたよ」

 優子さんと行ったんじゃなかったのか。
 思わずそう言いそうになったが、なんとか堪えた。

 ここで下手なことを言うと、話がこじれる。ひとまず合わせたほうがいいだろう。

「オレは、アイドルとかはよく分からないんですけどね。律は好きみたいで」
「それでも付き合ってくれるんだから、いい旦那さんですね」

 この仕事をしているうちに、愛想笑いが板についた。きっと、自然に見えたはずだ。
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