至上最幸の恋
「よかったら、今度ふたりでうちに遊びに来てくださいね。むさくるしい旦那もいますけど」
「ぜひ、機会があれば……」
 
 答えながら、いろいろなことが頭を駆け巡っていた。

 優子さんは、既婚者だったのか。律が彼女の結婚式に出たという話は、聞いた覚えがない。オレたちより前に結婚していたのかもしれない。

 だとしたら、律は既婚者の家に何度も泊まりに行っていたのか。いや、律の性格からして、それは考えにくい。それなら、どこに泊まっていたというのか。

「あ、長々ごめんなさい! そろそろ行きますね。お仕事、頑張ってくださいね」
「はい、そちらも」

 小走りで去っていく優子さんの背中を見送り、おぼつかない足取りでトラックの運転席に戻る。

 律が、嘘をついていた。いくら色恋に疎いオレでも、その理由くらいは分かる。

 いつからだ。もう、ずっと前からなのか。頭が整理できない。

 ただ、なぜか「どうして」とは思わなかった。心のどこかで、いつかこうなることを覚悟していたのかもしれない。

 すべては、オレの甲斐性のなさが原因だ。
 もっと律の話を聞いていれば。オレがもっと、律のために時間を作っていれば。そういう思いばかりこみ上げてくる。
 
 決して不幸にしたいわけではなかった。家庭を持つからには、一緒に幸せになっていきたいと思っていた。
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