至上最幸の恋
 これから、どうすればいいのだろう。どういう選択が、律にとって最良なのか。

 なにがあっても、オレは絵を描き続ける。その意思が変わることはない。
 しかし制作に集中すれば、律との時間はどうしても削られる。

 こんな男とは一緒にいないほうがいい。律の幸せには、きっとつながらないだろう。

 ただ、彼女がどう考えているのか、なにを望んでいるのかは、知らなければならない。

 どうやって切り出せばいいんだ。律がなにかを隠しているという、確かな証拠はない。オレの思い違いという可能性もある。

 分からない。一体、なにが正解なんだ。
 
 いや。ひとまずいまは、仕事に集中しなければ。考えごとばかりしていて、事故を起こすわけにはいかない。
 トラックに置いていた缶コーヒーを一気に飲み干して、エンジンをかけた。

 いつもと同じルートを走り、同じ企業を回り、同じ時間に営業所へ戻る。仕事を終えて帰路につきながら、オレはいつまでこの生活を続けるのだろうと考えた。

 結婚してからというもの、旅にも出ていない。新しい景色に出会うことは、オレにとって大切なことだった。それなのに、最近は同じ風景を見てばかりだ。
 
 いまは制作意欲は衰えていない。しかしそのうち、着想の泉が枯渇してしまうのではないか。
< 176 / 182 >

この作品をシェア

pagetop