至上最幸の恋
 簡単に答えを出せるわけがない。少し冷静になってから考えよう。まだ感情が落ち着いていない。ひとまず、いつも通りを心がけるしかない。
 
 そのうち、きっと答えが見えてくる。そう思うことにした。

 それから数日は、平穏そのものだった。
 律は以前のように早く帰宅して、オレが帰るとすぐに温かい食事を出してくれている。

 ただ、どこか顔色を窺うように視線を向けてくることがあった。もしかすると、オレと話したことを優子さんから聞いたのかもしれない。

 やはり、オレから切り出すべきか。相変わらず考えはまとまっていないが、これ以上引き延ばしても、互いのためにはならない。

 そう思っていた矢先だった。

「……どうして、なにも訊かないの」

 いつものように向かい合って食事をしていると、突然箸を置いて、律は呟くように言った。

「私が嘘をついていたって……もう、知っているんでしょ」

 いまにも泣き出しそうな律を見て、胸の奥が締めつけられるようだった。

 分かっていた。本当に平穏な日々は、もう戻ってこないのだと。
 この数日は、オレも律も薄氷の上を恐る恐る歩いていただけだ。その脆さに気がついておきながら、見て見ぬふりをして過ごしていた。

 なにもかも先送りにしてしまったオレのせいだ。もっと、律のことを一番に考えるべきだった。
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