至上最幸の恋
 制作依頼はいまも入ってきている。公募用の絵も並行して描いているし、ここが潮時だと思い、ドライバーの仕事は先月で辞めた。

 これでようやく、日本画家だと名乗れる。それなのに気分は晴れなかった。

「ほら。しっかり食えよ」

 照り焼きバーガーとフライドポテトが目の前に出された。どう見ても、普通の一人前より量が多い。

「今日は俺の奢りだ。モニターってことで、感想よろしく」
「貧乏舌の感想でいいのか?」
「お前は敏感だよ」
「どこがだ。空腹にも気がつかなかったんだぞ」
「五感のすべてが鋭すぎるんだな。だから、ひとつずつしか発揮できないんだろう」

 笑いながら、慧は余ったフライドポテトを口にした。

「うん、美味いな。最近の冷食は、味がよくなったもんだ」
「このポテト、冷凍なのか?」
「ああ。揚げて塩をふっただけ。いい味だよな」

 冷凍とは思えないほど、ホクホクしている。塩だけのシンプルな味つけもいいが、チーズやケチャップとも合いそうだ。
 冷凍で、ここまで旨いものが食べられる時代になったのか。

 それでも、律は冷凍食品を使ったことがない。すべて自分で手作りしてくれていた。

 この感謝を、言葉で伝えられていたら。

 胸の奥からこみ上げてきたものを誤魔化すため、ハンバーガーにかぶりついた。
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