至上最幸の恋
 顔を出した父を見て、一瞬はっとした。こんなに老けていただろうか。

 今年の正月は帰省できなかったから、顔を見るのは丸1年ぶりだ。久しぶりに会ったせいで、そう感じるのかもしれない。

「急にどうしたんだ」
「あ、ああ……少し話したいことがあって」
「そうか。ちょうど昼飯にしようと思っていたんだ」

 促されて家に入ると、中は綺麗に片付いていた。
 昔からきちんとした人だ。休みの日には、すみずみまで掃除をしているのだろう。

「昼飯、これから作るのか?」
「ああ」

 台所へ向かう父についていく。

 生活に必要なことはひと通りできるが、父は料理が得意なほうではない。準備がまだなら、久しぶりにオレが作るか。

「お中元でいただいたものが、まだ余っていてな」

 そう言って父が台所の棚から取り出したのは、素麺だった。そういえば、うちにも少し送られてきたな。それでもまだ余っているのか。

「冷たい素麺にするのか?」
「茹でるだけだからな」
「野菜とか肉があれば、オレが作るけど」

 意外そうな顔を向けられる。

 食材は揃っていたので、素麺を使って焼きビーフンのようなものを作ることにした。

 父の食事を作るのは、いつ以来だろう。律に任せきりだったせいで、まともに料理をすること自体が久しぶりだった。
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