至上最幸の恋
 だけど私には、「愛する人が目の前からいなくなっても、その想いは消えない」というメッセージに感じられるの。

 目の前にいなくても、隣を歩けなくても、想いは変わらない。

 だからこの曲を弾くときに思い浮かべることは、ただひとつ。

 もう、感情があふれてもいい。だってそれが、私のピアノだもの。

 最初の「ミ♭」から「ド」へ跳ね上がる長6度。その響きは、恋や憧れをそっと呼び覚ます。そこから一気に、甘い世界へと誘われていく。

 この街で出会って、恋をして、私の世界は開けた。その感謝と愛を、音にのせる。

 リクエストしてくださったのは夕子さんなのに、私の心は、どうしても瑛士さんへ向かってしまう。

 だけどこの曲だけは、あの方を想って弾きたいの。
 
 ここにはいない、瑛士さんへ。

 私は想い続けます。隣を歩けなくても、たとえいつか、この手が届かない場所へ行ってしまったとしても。

 あなたからいただいた、たくさんのものを大切にしながら、ずっとずっと想い続けます。

 そんな気持ちを、ひとつひとつの音に込めた。

 自然と涙がこみ上げる。
 変だと思われるかしら。だけどもう、止められないの。

 瑛士さんが大好き。出会ったころより、もっと大好き。

 鋭いけれど温かい瞳、少し低くて穏やかな声、長くて繊細な指先。
 ゆっくり言葉を選んでお話しするところ、決して人を否定しないところ、ご自分に厳しいところ。

 そのすべてが、どうしようもなく愛おしい。
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