至上最幸の恋
愛の夢
 日本に帰国して、2週間あまり。
 テレビ出演やツアーに向けた取材が続いたあと、ようやく一日だけお休みをいただけることになった。

 第一線で活躍されている方は、数か月もお休みがないことなど珍しくないというし……それに比べれば、私は本当に恵まれている。事務所と黒瀬さんのおかげだわ。

 そして、お休みの前日。
 仕事を終えたあと、ウィーンのお土産を手にコレットへ向かった。

「お、エリサちゃん。久しぶりだね」

 お店のドアを開けると、すぐに慧さんが笑顔で出迎えてくださった。
 まるで実家へ帰ってきたような感覚だわ。とてもほっとする。

「閉店間際に、すみません」
「いやいや。エリサちゃんなら、いつでも大歓迎だよ」

 そう言いながら、慧さんは表の札を「CLOSE」に変えた。

「もうお客さんが来る時間でもないしね。エリサちゃんと話しながら、ゆっくり片付けるよ」
「お邪魔ではありませんか?」
「むしろ捗るって。ミックスジュース、飲む?」
「はい、いただきます」

 慧さんはいつも、ミックスジュースを作ってくださる。果物だけの優しい甘さだから、安心していただけるのよね。

「ウィーンで撮影だったんだって?」
「はい。帰国してから、もう2週間ほどになります。あ、お土産をお持ちしましたよ」

 老舗のお菓子店の紙袋を、そっとカウンターへ置いた。中身はウエハース。定番だけれど、ウィーンでは人気のお土産なのよね。
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