至上最幸の恋
 ふたつの顔……ううん。きっと、もっとたくさんの顔が、私にはある。だからこそ、風間さんは私を選んでくださったのだと思う。

 今回の撮影で、私はなにを表現すべきか。それが分かった気がするわ。

「わぁ、素敵ー!」

 ヘアメイクと着替えを済ませてスタジオに入ると、スタッフの方たちから声が上がる。
 黒のタイトワンピースなんて普段は着ないから、少し照れてしまう。

「俺も思わず見惚れちゃったよ。こりゃ、最高の被写体だね。腕が鳴るなぁ」

 カメラマンの磯崎さんが、ファインダーを覗き込みながら頷いた。
 
 彼の写真集を何冊か見させていただいたけれど、女性をより美しく撮ることに長けている方だと感じた。

 ご本人もモデルのように整った容姿をされているけれど、撮られるより、撮るほうがお好きみたい。こんな素敵な方に撮っていただけるなんて、光栄だわ。

 準備が整ったので、さっそく撮影が始まった。

「うん、いいねー! すごくかわいいよ」

 シャッターを切りながら、磯崎さんが褒めてくれる。……なんとなく、瑛士さんと声が似ている気がするわ。

「お、いい表情! 目線こっちね!」

 磯崎さんの声が飛んでくるたびに、瑛士さんのお顔が浮かぶ。
 少し切ないけれど、とても愛おしい。ひと言では言い表せない、いろいろな感情が湧き上がってきた。
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