始まりは一夜の出会いから
 気にしてくれていた佐々木さんと、私を会わせればどことなく恋が始まるって、美月は、こんな私を本気で心配してくれてる。

 ずっと一人でいいやなんて、思ってきて、その理由も考えも何もかもを知ってくれているからこそ。

 気持ちは嬉しいし無碍にはしたくないけれど、やっぱり私には前に進みだす事が出来ないのは今もみたいだ。

 きっと佐々木さんと恋が出来なかったら、この先一生誰とも恋愛が出来ない事も理解した上で、それでも私は…、佐々木さんに恋に落ちる事が出来ない。


「…今も、なんです。恋愛する気がないの」


 そう口にした私を佐々木さんは口を挟まず聞いてくれていた。


「私高校時代1つ年上の彼氏に浮気されて、情けない事に6年ももう引き摺ってて。その時にこんなに傷付くくらいなら恋愛なんていいやって」


 出来る限り暗くならない様に明るい声で取り繕う。
 こんな事、佐々木さんにまで話さなくていいのに。

 多分話したのは、これ以上私に好きにさせないでって牽制だったかもしれない。

 あの時の男の人に会えたら、運命って言葉も信じたかった。だけど結局それも無い。

 運命なんてあるはずが無いのに、一瞬でも信じてみたかったから、それもずっと引き摺ってしまっていた。
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