始まりは一夜の出会いから
「そもそも恋愛する気の無い私が合コンに参加すべきじゃなかったんです。お酒に酔っ払ってあの日迷惑かけてごめんなさい」


 謝る私に佐々木さんは何も言わない。

 幻滅されたかな。当然だよね、お酒に呑まれてガードも緩くなってどうしようも無い。こんな女なら、私も嫌になってる。

 俯いて佐々木さんの顔は見れない。
 いっそこのままここに置いて出て行ってほしい。

 そう思っていた私に飛んできたのは、優しい声色だった。


「外出ません?」


 それだけ言ってまだ残っている食事を置いて私の手首を掴む。

 会計も現金でぽんと伝票と一緒に置くと、「残りは募金にでも回してください」と言って店を足早に出た。

 急な事で何も出来ず、腕を引かれるがまま歩くと、人通りの少ない所まで来て、近くの公園に入る。

 そしてそのままベンチに座らせられると、佐々木さんは私の前でしゃがんだ。

 その時の表情が凄く真剣で、頬が火照る。
 その目で見つめられるだけで逸らせなくなる。
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