始まりは一夜の出会いから
 そんな一波乱あった飲み会からも数週間、新くんの何かを考える時間が少し増えた気がしていた。連絡もあまり帰って来なくて、一緒に会っていても上の空。

 何があったのか問い掛けてもちょっと疲れちゃってたのかもなんて言葉で笑顔でも誤魔化されて、新くんの様子が変な日が増えた。

 付き合ってこれほど時間が経ってようやく倦怠期が来たのかななんて思ってしまう程に、今私達の空気感は重く、少し気まずくなっている。


「長く付き合ってたらそんな事もあるんじゃないの?」

「…そういうもの?むしろ今までが順調すぎたのかな」

「まあ、落ち着いてもおかしくはないじゃん?」


 美月とランチを取りながら新くんとの事を相談してそんな解答に「そっか…」しか言葉は出てこなかった。

 それにしてももっと早くなるならなってない?とか、ついこの間までは「大好きですよ、俺の有咲さん」なんて言いながらくっついてきていたのに、今はくっつく事もどこか許されない空気感だ。

 考え事をしている新くんは話し掛けにくくて、一度聞いて拒絶されてしまえばそれ以上はしつこく聞けなくなってしまう。
< 93 / 140 >

この作品をシェア

pagetop