転生脇役令嬢は原作にあらがえない
「そのようなわけには参りません。アーチボルト家のご令嬢を、呼び捨てになど……ですが、せっかくのそうおっしゃって頂いたので、アーチボルト嬢とお呼びさせて頂きますね」
クレイヴがそう言った時、わたくしはきちんと微笑んでいられたかどうか、わからない。
「申し遅れました。私はフローリー家当主、クレイヴと申します。本日はお招きいただきありがとうございました」
「そんなにお若いのに、ご当主様なの? 素敵ね! けれど、ご当主様ならなおさら、わたくしに敬語を使う必要もありませんわ。わたくしは爵位を持たない子どもですもの」
「この敬語は癖のようなものです。私がこちらの方が話しやすいというだけなので、お気になさらないでください」
「そうですか?」
ロッティ・アーチボルト嬢はわたくしの方に目を向ける。
「彼女は私の婚約者です。……お嬢様?」
「あ……ごめんなさい」
声をかけられて、はっとしたわたくしは、慌てているのを気取られないようにカーテシーをして再度挨拶する。
「スウィフト家のポーラと申します。本日はお招きいただきありがとうございます」
「ふふ、あなたもそんなに畏まらないで。わたくし、こちらに戻ってきて日が浅くて、年の近いお友達がいないの。だから、仲良くして頂けるかしら」
「もったいないお話ですわ。けれど、ありがとうございます」
社交辞令と受け取って返事をすれば、ロッティ・アーチボルト嬢も頷いて、にっこりと微笑んだ。
「ではパーティーを楽しんでくださいね」
本当に挨拶だけのつもりだったらしいロッティ・アーチボルト嬢はそのまま離れていく。その背中を見送ってから、わたくしは思わず小さな息を吐いてしまった。
「お嬢様、やはり無理をしてらっしゃいますね?」
「大丈夫よ……」
わたくしの言葉に、クレイヴの手がわたくしのものに重なって、「お嬢様」と声をかける。彼の目は心配そうに、けれどわたくしが認めなければ承知しない、という意思の強さを窺わせていて。
「……いえ、やっぱり少し休憩室にいこうかしら」
「それがいいでしょう」
クレイヴがそう言った時、わたくしはきちんと微笑んでいられたかどうか、わからない。
「申し遅れました。私はフローリー家当主、クレイヴと申します。本日はお招きいただきありがとうございました」
「そんなにお若いのに、ご当主様なの? 素敵ね! けれど、ご当主様ならなおさら、わたくしに敬語を使う必要もありませんわ。わたくしは爵位を持たない子どもですもの」
「この敬語は癖のようなものです。私がこちらの方が話しやすいというだけなので、お気になさらないでください」
「そうですか?」
ロッティ・アーチボルト嬢はわたくしの方に目を向ける。
「彼女は私の婚約者です。……お嬢様?」
「あ……ごめんなさい」
声をかけられて、はっとしたわたくしは、慌てているのを気取られないようにカーテシーをして再度挨拶する。
「スウィフト家のポーラと申します。本日はお招きいただきありがとうございます」
「ふふ、あなたもそんなに畏まらないで。わたくし、こちらに戻ってきて日が浅くて、年の近いお友達がいないの。だから、仲良くして頂けるかしら」
「もったいないお話ですわ。けれど、ありがとうございます」
社交辞令と受け取って返事をすれば、ロッティ・アーチボルト嬢も頷いて、にっこりと微笑んだ。
「ではパーティーを楽しんでくださいね」
本当に挨拶だけのつもりだったらしいロッティ・アーチボルト嬢はそのまま離れていく。その背中を見送ってから、わたくしは思わず小さな息を吐いてしまった。
「お嬢様、やはり無理をしてらっしゃいますね?」
「大丈夫よ……」
わたくしの言葉に、クレイヴの手がわたくしのものに重なって、「お嬢様」と声をかける。彼の目は心配そうに、けれどわたくしが認めなければ承知しない、という意思の強さを窺わせていて。
「……いえ、やっぱり少し休憩室にいこうかしら」
「それがいいでしょう」