転生脇役令嬢は原作にあらがえない
落ち着いた声でそう挨拶したのは、アーチボルト侯爵家のご当主であるフィリップ・アーチボルト様。侯爵様が少女に目配せすると、少女は綺麗なカーテシーをした。
「皆さま、本日はありがとうございます。わたくし、ロッティ・アーチボルトと申します。……仲良くしてくださいね」
花のような笑顔に、鈴を転がしたような可愛らしい声。そんな形容詞がよく似合う美しい少女はやっぱり、ロッティ・アーチボルト嬢だった。侯爵令嬢という高い身分に見合った教養を窺わせる美しい所作と、純粋無垢な少女を思わせる可憐さをあわせもった、ヒロインらしいヒロイン。そんな原作通りの彼女がいる。
「では、ロッティのデビュタントに」
アーチボルト侯爵様は酒杯を掲げたのを合図に、会場内で酒杯を持っていた人は合わせて掲げる。こうして、ロッティ・アーチボルト嬢のデビュタントパーティーが始まった。
とはいえ、わたくしは特にすることがないのよね。こういう場では、人脈作りに挨拶回りをすべきなのだけれど、クレイヴはわたくしに気を使っているのか、自分からはあまり挨拶に行かない。時折近づいてきた方々とクレイヴが話し始めた時には、わたくしは隣で微笑んで、紹介されたら挨拶をする。たったそれだけ。
この様子なら、クレイヴがロッティ・アーチボルト嬢と会話をすることはないかしら。そうすれば、クレイヴは原作のストーリーに巻き込まれずに済むかしら。
「楽しんでいらっしゃいますか?」
軽やかな声が、後ろからかかった。クレイヴとわたくしが振り返ると、そこにいたのは、ロッティ・アーチボルト嬢だった。
「ご令嬢。お初にお目にかかります」
二人で礼をとり挨拶をすると、ロッティ・アーチボルト嬢は目をみはった。
「まあ、そんなに畏まらなくてもよろしいのよ。わたくしのことはどうぞ、気安く『ロッティ』とお呼びくださいな」
ふふ、と笑ってロッティ・アーチボルト嬢が言えば、クレイヴは苦笑して首を振った。
「皆さま、本日はありがとうございます。わたくし、ロッティ・アーチボルトと申します。……仲良くしてくださいね」
花のような笑顔に、鈴を転がしたような可愛らしい声。そんな形容詞がよく似合う美しい少女はやっぱり、ロッティ・アーチボルト嬢だった。侯爵令嬢という高い身分に見合った教養を窺わせる美しい所作と、純粋無垢な少女を思わせる可憐さをあわせもった、ヒロインらしいヒロイン。そんな原作通りの彼女がいる。
「では、ロッティのデビュタントに」
アーチボルト侯爵様は酒杯を掲げたのを合図に、会場内で酒杯を持っていた人は合わせて掲げる。こうして、ロッティ・アーチボルト嬢のデビュタントパーティーが始まった。
とはいえ、わたくしは特にすることがないのよね。こういう場では、人脈作りに挨拶回りをすべきなのだけれど、クレイヴはわたくしに気を使っているのか、自分からはあまり挨拶に行かない。時折近づいてきた方々とクレイヴが話し始めた時には、わたくしは隣で微笑んで、紹介されたら挨拶をする。たったそれだけ。
この様子なら、クレイヴがロッティ・アーチボルト嬢と会話をすることはないかしら。そうすれば、クレイヴは原作のストーリーに巻き込まれずに済むかしら。
「楽しんでいらっしゃいますか?」
軽やかな声が、後ろからかかった。クレイヴとわたくしが振り返ると、そこにいたのは、ロッティ・アーチボルト嬢だった。
「ご令嬢。お初にお目にかかります」
二人で礼をとり挨拶をすると、ロッティ・アーチボルト嬢は目をみはった。
「まあ、そんなに畏まらなくてもよろしいのよ。わたくしのことはどうぞ、気安く『ロッティ』とお呼びくださいな」
ふふ、と笑ってロッティ・アーチボルト嬢が言えば、クレイヴは苦笑して首を振った。