転生脇役令嬢は原作にあらがえない
 王太子がロッティに告白したことをその時点のクレイヴは知らなかったが、優柔不断なロッティを自分のものにするために、強硬手段に出たのだ。本来なら子爵位のクレイヴとロッティはあまりに身分違いである。しかしロッティは気さくに接してくれるから、クレイヴは望みがあると勘違いしたのだろう。クレイヴはアーチボルト家に対し、求婚状を送ってしまった。お互いに恋仲になっているわけでもない身分違いの求婚が、普通に考えて受け入れられるわけがない。当然の結果として、それはロッティの父親により無残に断られてしまった。

 そんなクレイヴは、諦めずにロッティに会いに行き、必死に言い募る。

「ロッティ、私の愛を受け入れてくれるなら、この手を取って欲しい。私と一緒に暮らそう。必ず幸せにする」

「ごめんなさい、クレイヴ。あなたを悲しませたくないわ。けれど、わたくしはお父様を裏切ることはできないの……」

 駆け落ちをしようと誘うクレイヴに対して、ロッティは愛を受け入れるとも拒むとも告げず、ただ駆け落ちはできないと泣いて謝る。

「どうして君はそうなんだ! いつも思わせぶりな態度ばかりで……これは私が悪いんじゃない、君が私をこうさせるんだ」

 逆上したクレイヴはロッティの腕を強引に引っ張り、連れ去ろうとしてしまう。しかし、クレイヴの逃避行は侯爵家の騎士たちによる捕縛という形で叶わず、彼は誘拐犯としてアーチボルト家に莫大な賠償金を支払うこととなってしまった。自暴自棄になった彼はギャンブルにのめり込み、賠償金を支払うことも叶わず、やがて酔っ払い路地裏で死んでいるところを発見されてしまう。

 それが脇役令嬢ポーラに虐げられ、ロッティに溺れた元執事クレイヴの末路だ。

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